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2000年5月22日

どうする技術伝継ぐ 時代のトップに聞く  自然生態系再生の環境復元事業推進


2000年5月22日 日刊工業新聞

どうする技術伝承 次代のトップに聞く
日本ナチュロック専務 佐藤俊明氏(51歳)
自然生態系再生の環境復元事業推進

 ――環境に配慮した土木技術とはなんですか。
「従来の土木技術は開発中心型で、ややもすると自然環境を破壊していた面もあった。しかし、これからは、自然生態系を再生し自然に動植物が集まる環境(ビオトープ)を発生させる“環境復元事業”が大切となる。ビルの屋上をすべて緑化する技術や、コンクリートむき出しの護岸を緑で覆う土木技術のことだ」
――従来の土木技術とはどう違うのですか。
「新しい技術はほとんど必要ない。土木技術には長年、蓄積した素晴らしいノウハウが山のようにある。これを環境復元事業に技術移転する体制を構築することで十分対応できる。当社はもともとコンクリートのブロックメーカだったが、その技術やノウハウにより、天然素材を有効活用しコケなどが発生しやすくビオトープを生み出しやすい自然共生型の河川護岸用パネルを開発した。各社が持つ工法やシステム、ソフトなどを結集すれば難しいことなど何もない」
――環境復元型の土木技術を広め、伝承していくには何が必要ですか。
「21世紀は情報技術(IT)でなく、土木技術の時代だ。地球温暖化に代表される環境問題を解決できるのは唯一、土木技術だけだからだ。地球に人が住めなくなったらITどころではない。土木技術が地球環境を救うといったことを大々的にPRしイメージアップを図り、若い人たちに土木技術の素晴らしさをアピールすることが肝心だ」
――若手の人材育成については。
「若い人は土木というと地方の仕事といったイメージがあるようだが、当社は東京のど真ん中、赤坂にオフィスを構えている。都会でも十分、仕事ができることを理解してもらいたい。東京には人、モノ、金、情報がふんだんに集まる。これを利用し環境問題を土木技術で解決するネットワークの構築を考えている。ビットバレーではないが“エコネットバレー”を組織し、若い人たちに土木技術を伝承できればと思っている」